| 1枚の布とはいえ、風呂敷は日本の伝統美の集大成です。包むという機能や用途はもちろん、包んで美しく、解いたときも美しいことも大切。風呂敷にはわが国ならではの洗練された色彩感覚や公家文化とともに発達した有職文様、古代中国やサラセンなどから渡来した文様に想(アイデア)を得た意匠などが花と咲き匂っています。
なかでも染色文化の中心地である京都でつくられるものは伝統美と新しい感覚の精華。「京風呂敷」と呼ばれ、好評です。
風呂敷の模様で多用される伝承柄や吉祥柄は、いろいろおめでたい意味を持っています。たとえば、木綿風呂敷でおなじみの代表柄である唐草は、茎が伸び生命力に富んでいるため、江戸時代から子孫繁栄の象徴とされていたようです。
風呂敷には大小ありますが、大店(おおだな)の商いにはもっぱら屋号や紋入りの大風呂敷が活用され、紋入りのものは婚礼道具や調度などにもかけたりしました。
火事が名物だった江戸では、布団の下に一反風呂敷(概ね畳2枚分)を敷き、半鐘が鳴ると寝具の上に家財道具を放り投げ、そのまま風呂敷に包んで避難。防災用品としても不可欠だったようです。
明治や大正時代の女性たちの間では、紫ちりめんの御高祖頭巾(おこそずきん)が流行。今でも東北の一地方では「風呂敷ポッチ」というかぶり物として利用したりします。
包む物の大きさや形にとらわれることなく、変幻自在に包むことができること、畳むと小さくすることができて軽量であることなど、その融通性・自在性が近年見直されて、「和」を愛する人たちの間では根強い人気。手放せません。 |